Quadro SLI の謎

Quadro SLIに付いて、これまでのまとめを書いておきます。

 Kepler世代のQuadroは4-Way SLI対応基板に成っていますしGIGABYTE GA-7PESH3のニュースリリースにはup to four NVIDIA Quadro or AMD FirePro cards working together in SLI/CrossFire modes.と書いてありますのでKepler世代からはQuadroでの4-WayのSLIに対応していると思われます。代々Quadroと基板を共通にしているTeslaもKepler世代のTesla K20は4-Way対応基板です。
 ところで、さらっと書いてしまいましたがマザー単体でQuadro SLI認証を取得したのはGIGABYTE GA-7PESH3が初ではないかと思われます。少なくともnForce搭載マザー以外で認証と言う形で正式にホームページやマニュアルなどでQuadroでSLIに対応している事を明記したマザーボードはこれが初と思われます。
 Quadro 4-Way SLIでぱっと思いつく用途としてはMosaic設定によりGPUを跨いで多画面を一画面として扱う巨大なパネルです。Quadro1台で2560x1600のディスプレイを4台接続可能ですが、これを4-Way SLIにして4x4画面でMosaic指定すると最大で1万x6千ピクセルの巨大なデスクトップが構成出来そうです。デジカメ解像度で言えば6千万ピクセルです・・・OSが対応出来るかは不明ですが・・・

 ところで、筆者がQuadro SLIに付いて検証を重ねる発端となったのはASUS Z9PE-D8 WSでのQuadro 4000です。
 Quadro 4000 は少し変わった存在の様で、色の異なる新旧2種類の存在が確認されており恐らくGF100とGF110の違いと思われますが名前は同一です。現在nVidiaの公式ホームページではQuadro 4000のSLIに付いての記載が一通り削除されていますがSLIブリッジコネクタが有りますし、いくつかのマザーボードでSLIの動作確認がとれています。
 Quadro 4000と同じFermi世代での現時点のQuadro SLI公式対応はQuadro 6000/5000のみの様です。

分母が未だ少ないので統計的にとまでは言えませんが、経験的なものやネットでの情報を元に推測しますと、下記の様に2009年を境に状況が変わり、2013年(つまり今年)以降というかKepler世代のQuadroにあわせて再度状況が変わりそうな気配です。

nVidia SLI 対応マザー
 SLIブリッジコネクタを搭載した全てのnVidia GPUでSLIに対応したマザー

GeForce SLI 対応マザー
 GeForceのみSLIに対応したマザー

Quadro SLI 対応システム
 Quadroの特定モデルのみSLIに対応したシステム

※:公式な場合と、非公式対応の場合がありそうで、また、誤植の場合もあるかもしれません。

これらを無視してQuadro PlexやQuadro FX4700x2では無条件にSLIが動作すると思われます。

以下、SLI認証の推移です。

nForce Pro/nForce SLI ノースブリッジ搭載マザー
 2009年以前に発売されていたノースブリッジにSLI対応nForceチップセットを搭載しているマザーはnVidia SLIが可能と思われます。
 下記の3種のマザーは筆者が実際にQuadro 4000で試してSLI設定とSLI動作が問題無く出来ました。
 ・SuperMicro H8DCi (11号機 マニュアル上の記載はnVidia SLI
 ・Tyan S2915A2NRF-E (15号機 nForce Pro 3600搭載、マニュアル記載無し)
 ・ASUS A8N SLI SE (左記リンクのPDFマニュアルでの記載はnVidia SLI です)
 ※:Tyan S2915A2NRF-Eは2009年の微妙な時期だった為にマニュアルやホームページからSLIの記載が削除されたのかもしれません。

nForce100/nForce200 ブリッジチップ搭載マザー
 AMDプラットフォームのHyperTransportとは異なり、Intelは世代や製品ごとに非互換でクローズドな(オープンでない)バスを使ってCPUとチップセットを接続していた為、特にDP以上のXEONプラットフォーム向けnForceは筆者の知る限り製造されませんでした。その代わりにnForce100/nForce200ブリッジチップが使われ、Intel自身もSkulltrailとしてSLI対応マザーを出荷していた時期があります。nForce100/nForce200ブリッジチップはGTX295/GTX590やQuadroFX4700に搭載されていた経緯などもありSLIに寛容と思われますが例外も有る様です。
 例:
 ・Intel D5400XS (nForce 100搭載、仕様上の記載は nVidia SLI
 ・EVGA SR-2 (nForce 200搭載、仕様上の記載は 2-Way,3-Way,4-Way SLI
 ※:EVGA SR-2では、Quadro 4000でのSLIでこういった情報が有りますが、下記の通り2010年を境に状況が変化していますので2010年に登場したEVGA SR-2は微妙な立ち位置なのだと思います。

BIOS認証マザー
 2008年8月のIntel X58 Expressチップセットに対するネイティブSLIサポート開始が最初のBIOS認証によるGeForce SLIではないかと思います(例外的な存在として2004年発売のIWill DN800-SLIがBIOS認証と思われます)。この時点ではQuadro SLIは相変わらずnForce 200ブリッジを追加搭載したうえで完成したシステムとして認証取得する必要が有った様で、マザーボード単体でのQuadro SLI認証は行われていませんでした。(この状況は冒頭のGIGABYTE GA-7PESH3が登場するまで続いていたと思われます。)
 その後、nVidiaは2009年にIntelから訴訟を起こされ、チップセットの製造が困難に成った事に加え、2006年のAMDによるATI買収以降はAMDとも疎遠に成りつつあり、Opteron向けのnForce ProはPCI-Express Gen2世代の登場を待たずに終息してしまいました。
 その結果、2010年以降は双方のプラットフォーム上にチップセットを展開してゆく事が事実上不可能に成り、その後はCPUメーカとの間のチップセット製造契約ではなくマザーボードやシステム製造企業との間で個々の製品に付いて個別にGeForce SLIQuadro SLIを認証する形で認証コードをBIOSに埋め込んでSLIの可否をコントロールしている様です。
 ・SuperMicro X9DAE (ホームページ上の記述は GeForce SLI
 ・EVGA SR-X (仕様上の記載は 2-Way,3-Way,4-Way SLI
 ・ASUS Z9PE-D8 WS (17号機 HP上の記載は 4-Way SLI
 ・GIGABYTE GA-7PESH3 (ホームページ上の記載は 4-Way nVidia SLI
 ・メーカー製Workstation (Quadro SLI

 nForce 200はPCI-Express Gen2世代ですが、Kepler世代のQuadroは既にPCI-Express Gen3世代になっています。nVidiaはチップセットビジネスから撤退しましたのでGen3世代のブリッジは製造していません。従ってKepler世代のQuadroでは今までの様にnForce 200を搭載しないと認証しないとは言えなくなってしまったのでQuadro SLIの認証ポリシーを変更する機会が出来て、その際に、マザー単体での認証もOKとしたのではないかと思います。その第一号が冒頭のGIGABYTE GA-7PESH3の様に今まで行われていなかったマザーボード単体でのQuadro SLI認証という形に成ったのではないかと思います。
 あえて、もう一つ付け足すとすればXEON Phiの移植性の高さへの脅威感から認証範囲の緩和につながったようにも思います。筆者もXEON Phiの登場とともにOpenCL関連の記事をあまり書かなくなりましたが、IntelがXEON Phi向けに移植性の非常に高いコンパイラを発表した事でCUDAやOpenCLの存在価値が大きく後退した事は否定できないと思われます。XEON Phiに対するnVidiaやAMD(ATi)のGPGPUの優位性はグラフィックボードとして広く普及している事ですから、Quadroを今までより多く普及させつつ移植性の問題を改善してゆく必要がnVidiaにはあると思います。
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プロフィール

DualSocketTheWorld

Author:DualSocketTheWorld
自作を始めて20台目くらいになりますが、最初からデュアルソケット限定(始めた当時はデュアルスロット)で自作しており、近年になってAMD K6を試したくなりSocket7でK6-2+のシングル構成で組んだのがシングル初です。

シングルマザー(含:シングルソケットマルチコア)や4ソケット以上の自作は基本的にしませんし、メーカー製PCの改造も基本的にはしません(ノートPCのSSD化くらいはしますが・・・)

基本路線はワークステーションと呼ばれる分野での自作で、OSもWindows系であればProfesionalが主な対象に成ります。

ゲーマーの様なOverClockは行わず、WS路線としてハイエンドCPUとハイエンドGPUの組み合わせで定格或いはDownClockで発熱を抑えつつ、その時のアーキテクチャに置いて爆速かつ静音を目指し、30年以上の長期に渡り稼動状態をキープする事を目指します。

※基本的にリンクフリーです。どこでも自由にどうぞ。

※画像は時々変ります。

※お決まりの文章ですが、改造は個人の責任で行ってください。ここに記載された情報は間違いを含んでいる可能性が有り、それを元に製作や改造などをして失敗しても筆者は一切責任持てませんので悪しからず。

筆者略歴:
小学生時代にゴミ捨て場で拾ったジャンクテレビ数台を分解して部品を取り出し真空管アンプを自作、中学生時代にPC8801mkⅡsrでZ80アセンブラを始める。社会人になって初のプログラムは弾道計算、後に医療系・金融系プログラマ~SEを経て100~200人規模プロジェクトのジェネラルマネジャを数年経験、独立して起業。現在は不動産所得で半引退生活。
(人物特定を避ける目的で一部経歴を変更しています)

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