CPUアーキテクチャの系統

AMD Bulldozer と言いますか G34ソケット版の Interlagos の登場を待っている筆者としましては性能が気に成りまして時々漏れて伝わって来る情報をキャッチしている訳ですが・・・

そこで、今回はCPUの系統とマイクロアーキテクチャを列記して比較してみる事にしました。
ここで挙げた系統は、前世代の改良版(と推測される)場合に同一系統とし、根幹部分に全く新しい設計を採用した場合は系統別けをしています。
アーキテクチャとはつまり基本仕様の事で、マイクロアーキテクチャと言った場合はCPU内部構造の根幹部分の仕様という理解でよいのではないかと思います。

Intel
 80386 -> 80486(i486) -> Pentium(P5/P54) -> MMX(P55C) -> 終了(CISCからRISCへの転換期の終焉)
 PenPro/II/III(P6) -> PenM(Banias) -> Core(Yonah) -> Core2(CoreMA) -> Nehalem -> SandyBridge
 Pen4/PenD(NetBurst) -> 終了
 ATOM -> 終了か?

AMD
 Am386 -> Am486 -> Am5x86 -> 終了(CISCの終了)
 K5 -> K6 -> Athlon(K7) -> Athlon64(K8) -> Phenom(K10) -> 終了か?
 Bob/Bull -> どうなる?

ここで挙げた系統が違えばアーキテクチャが全く異なりますので、コア辺りのIPC(Instructions Per Clock:クロック辺りの命令実行数)が全く異り、得意不得意や癖が異なりますので動作クロックでの単純比較は全くの無意味になるかと思います。
その顕著な例がPen4とCore2で、同クロックでの比較では倍~4倍くらいの性能差が出る事も有ります。

とは言え、半導体のリーク電流等の問題から3GHzを超えた辺りから電力効率が極端に悪くなるという事がある程度判っていて、各社世代を追う毎にIPCの高効率化を図ってきた訳ですが、その中での例外が Pen4(NetBurst) と今回の Bulldozer と言う事に成り、NetBurstは3GHz到達以前のアーキテクチャで、Bulldozerは3GHz到達以後のアーキテクチャという時代背景の違いも有るかと思います。

概ねNetBurstは時代背景から高クロック化さえ出来ればIPCを有る程度は犠牲にしても良いという方針だったのではないかと思われ、IPCを犠牲にする代わりに産まれた技術が1つのCPUコアを仮想的な2コアに見せるHyperThreadingでは無いかと思われます。
このHyperThreadingは並列処理が重視されるサーバ製品のXEONから順次投入が始まり、プログラムの組み方次第では同一クロックの前世代品より高い性能を発揮する事に成功しましたが、並列処理があまり浸透していなかった当時の個人向けのパソコンでは、あまり効果が得られないばかりか性能低下の原因や時として動作不良(マルチプロセッサに対応していないソフトウエアが想定外の状況に陥り誤動作する)を引き起こしました。

そして、今回のBulldozerはNetBurstと同じく前世代より高クロック化が可能な反面、クロック辺りの性能が悪くなるという共通点が有りますが、NetBurstとはアプローチが逆で、多コア化による並列処理向上の為にコア辺りIPCを犠牲にして個々のコアサイズを小型で単純化し、犠牲にしたIPCを補う為に高クロック化が可能な作りにした様です。
その結果、1ダイに8コアを収めつつもIntelの6コア品よりもダイサイズコア辺りのダイサイズが小さく、この利点を活かしてInterlagosの様に2ダイを1パッケージに収めて1CPU辺り16コアの製品を130W以下のTDPで投入に持ち込めたのではないかと思います。
この設計思想は旧ATI技術者のアーキテクトが少なからず関与しているのではないかと想像しますが、真実は存じません。
LarrabeeやKnights Ferry程では無いにしろ、若干そちら寄りの思想ともとれます。

いづれにしろ、多コア時代の幕開けに相応しい設計を目指した事は間違いなく、その意味ではシングルスレッド性能がある程度犠牲(と言っても普通の人がパソコンとして常用する上では全く支障が無い性能は有る)に成っていて、AMD64が発表された当時の64bitと同じで、このマイクロアーキテクチャの真価が発揮され正当に評価されるまでには数年かかりそうな気がします。

AMD FUSION では CPU と GPU の統合が目標な訳ですが、現在のRadeonHDやFireProによるGPGPUでは浮動少数演算に重点が置かれ、過去に筆者が行ってきましたベンチマークで明らかな様に、nVidiaのGPGPUと比べて倍近くの浮動少数点演算パフォーマンスを示していますが、AMDのGPUは条件分岐等に弱く、その弱い部分をCPUで補い、統合されたFUSIONで真価を発揮するという事だと思います。逆にBulldozerの1モジュール2コアに浮動少数ユニットが1個しか配置されていないのは、恐らく互換性維持目的が主で、本来のというか目標性能を発揮させるためには、今後統合される予定のGPUによる浮動少数演算が必須なのだと思います。Bulldozerは、その過渡期に産まれた特異な存在とも云えるのかもしれません。但し浮動少数演算をあまり必要としない事務系のサーバアプリケーションでは、今後も現状のブラッシュアップで事足りるという事も言えそうです。
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No title

初期のATOMは現代版i486みたいな構成でしたね。
XPですら動作が重かった記憶があります。

AMDの従来型はLlano(K10改)で終わりっぽいです。
Bulldozerは次のPiledriverに期待?という感じがなんとも…

No title

Bulldozerはダイサイズが残念なことになってます・・・20億とか。AVXとかXOPとかFMA?に最適化すれば早いようですけど
GPUのほうも次から変わるので鯖向けにはかなりよくなりそうな感じです
見えてきたAMDの次世代GPUアーキテクチャ。なぜAMDはVLIWを捨てるのか
http://www.4gamer.net/games/135/G013536/20110711007/

Re: No title

> 初期のATOMは現代版i486みたいな構成でしたね。

ATOMを多数搭載した並列演算機が存在した様で、実は、筆者はその2ソケット版の板が登場してくれないものかと待望していたのですが、今のままでは収束しそうな雰囲気を醸し出している所が残念です。恐らくARMに圧されて消滅・・・

> Bulldozerは次のPiledriverに期待?という感じがなんとも…

というか32コアとか40コアとかが控えているとか、もうそろそろWS系OSでも対応出来ないコア数になりそうです。そうするとこのブログも終わりか?

Re: No title

> Bulldozerはダイサイズが残念なことになってます・・・

筆者はコア辺りのダイサイズと勘違いしておりました。ご指摘有難う御座います。

> 見えてきたAMDの次世代GPUアーキテクチャ。なぜAMDはVLIWを捨てるのか
> http://www.4gamer.net/games/135/G013536/20110711007/

こういう記事は、読んでいて楽しいですね。
過去のソフト資産だけに目を向けるとBulldozerは大多数の期待を裏切っている様ですが、私は楽しみにしてます。
ちょうど1年前の私の記事の後半にメモリモデルに関する似たような記載をしたのを思い出しました。
http://dualsocketworld.blog134.fc2.com/blog-entry-115.html

ところで、この4亀の記事ではOpenCLがプログラムし辛く、M$のC++AMPの方がプログラムが容易と書いてありますが、これはAMDがM$からの協力を得るための詭弁ですね。いわゆる大人の事情って奴ですよ。
メモリモデルが時代にそぐわなくなるのは確かですが、この部分は柔軟に対応出来る筈です。

多種多様な命令セットを含んだ異種混合のヘテロジニアスメニイコアを吸収するには、やはりOpenCLの様なモデルが適していると筆者は思います。
プロフィール

DualSocketTheWorld

Author:DualSocketTheWorld
自作を始めて20台目くらいになりますが、最初からデュアルソケット限定(始めた当時はデュアルスロット)で自作しており、近年になってAMD K6を試したくなりSocket7でK6-2+のシングル構成で組んだのがシングル初です。

シングルマザー(含:シングルソケットマルチコア)や4ソケット以上の自作は基本的にしませんし、メーカー製PCの改造も基本的にはしません(ノートPCのSSD化くらいはしますが・・・)

基本路線はワークステーションと呼ばれる分野での自作で、OSもWindows系であればProfesionalが主な対象に成ります。

ゲーマーの様なOverClockは行わず、WS路線としてハイエンドCPUとハイエンドGPUの組み合わせで定格或いはDownClockで発熱を抑えつつ、その時のアーキテクチャに置いて爆速かつ静音を目指し、30年以上の長期に渡り稼動状態をキープする事を目指します。

※基本的にリンクフリーです。どこでも自由にどうぞ。

※画像は時々変ります。

※お決まりの文章ですが、改造は個人の責任で行ってください。ここに記載された情報は間違いを含んでいる可能性が有り、それを元に製作や改造などをして失敗しても筆者は一切責任持てませんので悪しからず。

筆者略歴:
小学生時代にゴミ捨て場で拾ったジャンクテレビ数台を分解して部品を取り出し真空管アンプを自作、中学生時代にPC8801mkⅡsrでZ80アセンブラを始める。社会人になって初のプログラムは弾道計算、後に医療系・金融系プログラマ~SEを経て100~200人規模プロジェクトのジェネラルマネジャを数年経験、独立して起業。現在は不動産所得で半引退生活。
(人物特定を避ける目的で一部経歴を変更しています)

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