今更ながら PCI の 5V と 3.3V に付いて語ってみる

PCI には 5V 仕様と 3.3V 仕様が有る事は、この記事を見ている方なら御存知かと思いますが、にもかかわらず、あまり知られていない重要な事があります。

それは、

電源電圧信号電圧それぞれ5V3.3Vが有る事です・・・と書いた時点でワカラネって思う人も居ると思いますので図解で出来るだけ簡単に説明してみます。

詳しくは、かなり以前の記事に書いてありますが、今回は図解で判り易くしてみました。
電源電圧に付いては、こちらにも詳しく書いてあります。



5V専用 32Bit PCIカード
(初期のPCIカードで一般的な形状、TTL信号向け)
 5V32Bitカード
   この形状のPCIカードは、一般的なPCであれば概ねどのPCでも動作します。
   但し、この形状であっても
   Rev2.2以降は3.3V電源かつ5V信号
   のカードが存在しますので注意が必要です。
   そして仕様/規格的には、これでも問題無しです。
   筆者の知る限り Albatron AL-GF8600GT PCI がこれに相当し以前改造した経緯
   があります。同様に最近のPCIグラボは3.3V電源が必須と考えたほうが良いでしょう。
    総ピン数:120本(片面60本)
    5V電源:8本(うち何本か未結線の場合もある)
    3.3V電源:12本(Rev2.1以前は未使用、Rev2.2以降は使う物が多い)
    3.3Vスタンバイ電源:1本(Rev2.2以降)
    12V電源:1本
    -12V電源:1本
    信号電圧:5本(信号電圧の基準電圧5Vが必須)
    アドレス/データ信号:32本、この信号が 5V を基準にしたTTL信号



5V3.3V両用 32Bit PCIカード
(現在のPCIカードで一般的な形状、CMOS回路)
 5V-3.3V-32Bitカード
   この形状のPCIカードは、概ねどのPCIスロットに刺しても動作する・・・と思わ
   れがちですが、Rev2.0~Rev2.1のスロットに刺した場合は動作しない事が非常に
   多いタイプです。
   原因は、この形状のPCIカードは、5V信号/3.3V信号のどちらでも動作可能です
   が、電源は5V3.3Vの電源を両方同時に使う物が
   多く、5V電源しか供給されてないスロットでは動作しない為です。
    総ピン数:116本(片面58本)
    5V電源:8本(うち何本か未結線の場合もある)
    3.3V電源:12本(うち何本か未結線の場合もある)
    3.3Vスタンバイ電源:1本(Rev2.2以降)
    12V電源:1本
    -12V電源:1本
    信号電圧:5本(マザー側から来る5V又は3.3Vを感知して動作電圧を決定)
    アドレス/データ信号:32本、この信号が上記で決定した5V又は3.3Vで動作
   この形状のPCIカードには稀にPCI-X対応品もあり133MHzの高速動作が可能な
   カードも有ります。具体的にはACARD製のIDE/SATAカードに133MHz動作品が
   あります。



3.3V専用 32Bit PCIカード
(筆者は、この形状の実物を見た事がありません)
 3.3V-32Bitカード
   一見PCI-Express x16形状にそっくりな、この形状はPCIカードとして規格上は
   存在します。しかし筆者は、この形状の実物を見た事がありませんし、商品と
   しては存在しないかもしれません。
    総ピン数:120本(片面60本)
    5V電源:8本(うち何本か未結線の場合もある)
    3.3V電源:12本(うち何本か未結線の場合もある)
    3.3Vスタンバイ電源:1本(Rev2.2以降)
    12V電源:1本
    -12V電源:1本
    信号電圧:5本(信号電圧の基準電圧3.3Vが必須)
    アドレス/データ信号:32本、この信号が 3.3V を基準にしたCMOS回路専用



5V 32Bit スロット (最も一般的で、最も普及した形状)
   5V32Bit信号スロット
  5V信号でチップセットと接続します
  5V電源がマザー側から必ず供給されます
  3.3V電源は厄介で、
    Rev2.0~Rev2.1では3.3V電源が無いマザーが主流(規格上は設計者の任意)
    Rev2.2~Rev2.3では3.3V電源がマザー側から必ず供給されています。
  省電力機能やスタンバイ動作はRev2.2以降です。
  Rev3.0では、この形状のスロットが廃止されました。



3.3V 32Bit スロット (筆者は、この形状のスロットを見た事がありません)
   3.3V信号スロット
  一見するとPCI-Expressスロットの様ですが、概ねスロットの色が白でコネクタ形状
  としては5V専用PCIスロットを左右逆にしただけです。
  筆者は、このスロットを見た事がありませんが、工業用製品では存在すると聞いた
  事があります。
  3.3V信号でチップセットと接続します
  5V電源/3.3V電源ともにマザー側から必ず供給されます
  省電力機能やスタンバイ動作はRev2.2以降です。



5V専用 64Bit カード
(初期のサーバ/ワークステーション向けPCIカード)
 5V-64Bitカード
   この形状のカードは、初期のRAIDカードでよく見掛けました。最近は探すのが
   困難で、主にRev2.1仕様のカードで動作クロックは33MHzです。
   基本的には5V専用32Bitカードと同じで、データ/アドレスが64Bitに拡張さ
   れた物です。32Bit/64Bitは相互に互換性があり、どちらのカード/スロット
   に挿しても基本的には動作するはずです。
   5V専用カードの動作クロックは33MHz固定です。



5V3.3V両用 64Bit/PCI-X カード
(サーバ向けPCIカードやPCI-Xで一般的な形状)
 5V-3.3V-64Bitカード
   この形状のカードは、PCI-Expressが登場しても、しばらくの間はサーバ向けの
   主流/主力製品でした。
   現在でも比較的容易に入手出来ます。
   基本的には5V/3.3V両用32Bitカードと同じで、データ/アドレスが64Bitに
   拡張された物で、32Bit/64Bitは相互に互換性があり、どちらのカード/スロット
   に挿しても基本的には動作するはずです。
   筆者は実際にこんな改造をして430TXマザーでこんなカードを動作させました
   動作クロックは33MHz/66MHz/100MHz/133MHzの物がありPCI-X対応の物
   は133MHzが主流です。
   PCI-X対応品の中には稀に33MHz/66MHzで動作しない物もあります。
   規格上は266MHz以上も策定されましたが、実物は(筆者の知る限りは)存在し
   ません。



3.3V専用 64Bit/PCI-X カード
(筆者は見掛けた様な気もしますが、ハッキリとした記憶にはありません)
 3.3V-64Bitカード
   基本的には3.3V専用32Bitカードと同じで、データ/アドレスが64Bitに拡張され
   た物です。32Bit/64Bitは相互に互換性があり、どちらのカード/スロットに挿
   しても基本的には動作するはずです。
   動作クロックは、恐らく最低でも66MHz以上で、一般的な5V専用PCIスロットでは
   利用出来ません。



5V 64Bit スロット
(初期のサーバ/ワークステーションで採用されていた)
   5V64Bit信号スロット
  5V信号でチップセットと接続します
  5V電源がマザー側から必ず供給されます
  3.3V電源は厄介で、
    Rev2.1では3.3V電源供給は規格上、設計者の任意です。
    Rev2.2~Rev2.3では3.3V電源がマザー側から必ず供給されています。
  省電力機能やスタンバイ動作はRev2.2以降です。
  動作クロックは33MHz固定です。
  Rev3.0では、この形状のスロットが廃止されました。



3.3V 64Bit スロット / PCI-X スロット
(PCI-Expressが登場するまでサーバで主流だったスロット)
   3.3V64Bit信号スロット
  3.3V信号でチップセットと接続します
  5V電源/3.3V電源ともにマザー側から必ず供給されます
  省電力機能やスタンバイ動作はRev2.2以降です。
  未だにこのスロットを搭載したマザーボードが発売される事も
  動作クロックは33MHz/66MHz/100MHz/133MHzがあります。
  266MHzも規格化されましたが、恐らく266MHzで動作するスロットを備えた
  マザーは実験用には有るかもしれませんが、商品としての実物は存在しな
  いと思います。




実際に、動作電圧を調べてみる。
 以前、PCIの給電状況を調べるPCIカードを自作した事がありました。
 DSC00276.jpg
 この自作PCIカードは今でも重宝しておりまして、特に古いマザーで遊ぶ時の必須アイテムと化しています。
 どれか点灯しないLEDが有った場合この様な改造をする事で、今まで動作しなかったPCIカードが動作する様に成る事が多々あります。




最後に、

元々は、
 5VはTTL回路用
 3.3VはCMOS回路用
でしたが、最近はどちらでもOKなPCIカードが主流です。

時代が移り変わり、パソコンのデジタル回路で利用される電源電圧は、
 5V(TTL) -> 3.3V(CMOS) -> 12V(分散オンボード電源)
の順で主役が移り変わり、その互換性を引きずる形でPC電源に3種の電圧が定着した様です。

 1990年代の中頃までは+5Vが中心で、2000年前後で+3.3Vに主役が移り、回路の低電圧化に伴い多種多様な電源電圧が必要になってきた事から、+12Vを元にして利用する部品のそばで小型の降圧回路を使って必要な電圧に下げてから利用する事が多くなってきました。
 その代表例がCPU用の+12V-4pin/8pinコネクタや、GPU用の+12V-6pin/8pinコネクタで、CPUやGPUの周辺まで来た+12Vの電源を直近でCPUやGPUに必要な電源電圧に下げて利用しています。
 デジタル機器の設計で重要なのが、回路設計と伴に、この降圧回路をいかに小型かつ高効率にするかといった事にもなっているようで、デジタル回路設計にはデジタル回路の知識だけで十分なのですが、降圧回路はアナログ回路設計の知識が主に必要な為に難易度が高く、リファレンス設計を踏襲した製品が多い事の一因ではないかと思われます。

 PCI規格もPCI-Expressに変わり、スロット側の電源要求が下図の様に変化しました。
 PCIPCIEPOWER.png
 PCIスロットで主に使われていた5Vが姿を消し、12V主体の電力と、3.3Vを基準とした信号電圧に固定された様です。
 上図はスロット形状で決まります。つまり、例えば信号がx4であってもx16形状のスロットならx16相当の電力供給が義務付けられています。
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No title

HP ML115のPCIが3.3V 32bitスロットらしいです。

ところで64bitPCIっていつ頃から使われるようになったのでしょうか?
97年には64bitPCI対応のMicron Samuraiが存在していたようなのでその前後だとは思うのですが…

Re: No title

> HP ML115のPCIが3.3V 32bitスロットらしいです。

なるほど、
最新のRev3.0では規格から5Vスロットが廃止されてしまったので、
新しく設計する場合は3.3V専用スロットに成るんでしょうね

> ところで64bitPCIっていつ頃から使われるようになったのでしょうか?
> 97年には64bitPCI対応のMicron Samuraiが存在していたようなのでその前後だとは思うのですが…

93年4月のPCI Rev2.0 仕様には既に64Bitが有る様です。

これは、Intelが初代Pentium用のチップセット間バス仕様をオープンにして他社を取り込む戦略からPCIカード/スロットがスタートした事に起因するのだと思います。
つまり初代Pentiumのデータバスが64Bitだった為にPCIも最大64Bitの仕様に成ったのだと思われます。

余談ですが、95年6月に発行されたRev2.1の仕様書が手元に有りますが、これには既に64Bit/66MHzの記述があり、Rev2.1で66MHzが追加された事と、66MHz動作は3.3V信号でしか動作しない事が書かれています。
これは、恐らくPentiumのFSBにシンクロさせる意図が有ったのではないかと思います。

電圧も初代Pentiumが5Vで、途中から3.3Vに変わりましたから、CPUとデバイスを無理無く効率的に接続する目的で(当時)考えられた規格でしょうね。

そういえば、最近のCPUはPCI-ExpressのI/Fを内臓していますので、基本的な考え方は昔と変わってないというか、Pentiumの成功事例を踏襲した戦略なのかもしれませんね。
その延長上にThunderboltが有るんだと思います。
http://dualsocketworld.blog134.fc2.com/blog-entry-172.html
プロフィール

DualSocketTheWorld

Author:DualSocketTheWorld
自作を始めて20台目くらいになりますが、最初からデュアルソケット限定(始めた当時はデュアルスロット)で自作しており、近年になってAMD K6を試したくなりSocket7でK6-2+のシングル構成で組んだのがシングル初です。

シングルマザー(含:シングルソケットマルチコア)や4ソケット以上の自作は基本的にしませんし、メーカー製PCの改造も基本的にはしません(ノートPCのSSD化くらいはしますが・・・)

基本路線はワークステーションと呼ばれる分野での自作で、OSもWindows系であればProfesionalが主な対象に成ります。

ゲーマーの様なOverClockは行わず、WS路線としてハイエンドCPUとハイエンドGPUの組み合わせで定格或いはDownClockで発熱を抑えつつ、その時のアーキテクチャに置いて爆速かつ静音を目指し、30年以上の長期に渡り稼動状態をキープする事を目指します。

※基本的にリンクフリーです。どこでも自由にどうぞ。

※画像は時々変ります。

※お決まりの文章ですが、改造は個人の責任で行ってください。ここに記載された情報は間違いを含んでいる可能性が有り、それを元に製作や改造などをして失敗しても筆者は一切責任持てませんので悪しからず。

筆者略歴:
小学生時代にゴミ捨て場で拾ったジャンクテレビ数台を分解して部品を取り出し真空管アンプを自作、中学生時代にPC8801mkⅡsrでZ80アセンブラを始める。社会人になって初のプログラムは弾道計算、後に医療系・金融系プログラマ~SEを経て100~200人規模プロジェクトのジェネラルマネジャを数年経験、独立して起業。現在は不動産所得で半引退生活。
(人物特定を避ける目的で一部経歴を変更しています)

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