Socket 940 マザーのまとめ

いまさらですが Socket 940 マザー(デュアルソケット限定)のまとめです。
※追々掲載を増やしてゆきます。

冒頭からいきなり残念なお知らせですが、
このソケットは残念ながら64Bit-CPUでありながらWin8.1以降の64bit Windowsが動きません。
32Bit版なら要件を満たしている為、Windowsを使い続ける為には32Bit版へ移行する必要があります。

その他のソケットに付きましては、下記にてまとめています。
Intelマザーのまとめ
 Socket7 / 8, 1, 2, 370 / Socket604 / SocketM
 LGA771 / LGA1366 / LGA2011 / LGA2011 v3 / LGA3647
AMDマザーのまとめ
 SocketA / Socket940
 SocketF / SocketC32 / SocketG34 / Socket SP3
VIAマザーのまとめ
 nanoBGA / QuadCore


Socket940の基本
AMD64:現在の64bitの基礎を築いた
NUMA:現在のマルチCPUの基礎を築いた
HyperTransport:PCIバス以外の可能性を示唆

時系列
初期:2003年5月~
・HDAMA(DK8S)に代表される鯖板が業界で大活躍しOpteronのシェアが拡大
・AMD製純正チップセットの相性問題に悩まされた(特にAGP用のAMD-8151)
・CPUの歩留まりが悪く製造プロセス微細化が進まずクロックが低いまま推移
後期:2005年頃~
・AMD向けには作らないと言われていたSuperMicroが参戦
・nVidiaがチップセットを投入しはじめPCIe x16フル帯域を2本装備した板が登場
・nVidia Quadroとの相性が良く、ワークステーションでもシェア拡大
・ネイティブデュアルコアとクロック向上により本来の設計性能を発揮しシェア拡大
終盤:2007年頃~
・CoreMA XEONが登場、IPCでK8を抜くがFSBボトルネックと爆熱FB-DIMMで相殺
・K10の登場が遅れ、しばらくの間はSocket940が使われ続ける
・IwillがHTX等で暴走気味になってしまい消滅、連鎖してRioWorksも縮小・消滅した
※当時のIwill(名指しではないが)に付いてSunMicrosystems の Bechtolsheimがコメントしています。

特徴別リスト
 Socket940プラットフォームでは、E-ATX 又は SSI-EEB かつPCI-X搭載が標準と筆者は捉えています。メモリは DDR ECC Registerd です。従いまして、これらの要素は特徴別リストには掲載していません。

SLI 対応マザー
2Way(x16 + x16) / Quad-SLI (w2GPU-Board)
 ・Tyan Thunder K8WE (S2895)
 ・SuperMicr H8DCE
 ・SuperMicr H8DCE-HTe
 ・SuperMicr H8DCi11号機
 ・GIGABYTE GA-2CEWH

2Way(x8 + x8)
 ・RIOWORKS HDAMEX SLI (Iwill DK8EW)
 ・MSI K8N Master2-FAR (ATX)

2Way(x16 + x4)
 ・Tyan Tiger K8WE (S2877) (ATX)
 ・Tyan Thunder K8SE (S2892)

ATX (SSI-CEB)フォームファクタ対応マザー
 ・RIOWORKS HDAMB (AGP 8x)
 ・Tyan Tiger K8W (S2875) (AGP 8x)
 ・Tyan Tiger K8SSA (S3870) (ServerWorks HT1000)
 ・Tyan Tiger K8WE (S2877) (2Way SLI : x16 + x4)
 ・MSI K8N Master2-FAR (2Way SLI : x8 + x8)
 ・MSI K8T Master2-FAR7 (VIA チップセット)
 ・ASUS K8N-DL (x16 x1 nForce PRO 2200)
 ※ASUS K8N-DLは規格外の出っ張りが有る為ATXとは言えないかも?しれません。

珍しいチップセット搭載品
 ・-ABIT- SU-2S (ALi チップセット)
 ・MSI K8T Master2-FAR7 (VIA チップセット)

各社マザーボード
最初に Socket 940 を語る際に外せない存在であり、初期のOpteron快進撃の牽引役として活躍したマザーを紹介します。

RIOWORKS
Socket940マザーに関してはIwillの代理店として機能していました。しかし親会社のArimaが製造を請け負っていた物もある様でIwillとは密接な関係にあった様です。設計がIwillで製造がArima、販売がRioWorksかもしれません。
HDAMA (Iwill DK8S)
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DOS/V互換機としては最初期のNUMAで、ブロック図を見て判る通り旧世代のノース&サウス構成を踏襲、2つのHyperTransportを装備するAMD-8131がAMD-8111との接続にも使われています。この板は某大学に大量納品され、当時の最先端ネットワークのバックボーンを担っていました(それだけI/Oが優秀)。その結果、初期のOpteron快進撃の牽引役として活躍しています。
Iwill (後に買収され消滅)が製造し、RioWorks(後にサーバ事業をArimaに売却)が自社ブランドでHDAMAとして出荷し、筆者も発売と同時に秋葉で購入し8号機として使っていました。この板は後にSATAコントローラがPromise製に変更されたバージョンが登場した息の長い製品です。

HDAMB (OEM元:未調査)
HDAMB.jpg HDAMB-IO.jpg
HDAMB-BDG.png
このAMD-8151チップセットはAGP 8x対応ですが、相性が悪くて不評でした。メモリが片側ノードにしか接続できない為に筆者の購入対象外でしたがATXの標準ケースに収まる為に自作では人気が有り購入した人も多いと思います。それ故にAGPの相性問題の情報もネットで拡散してゆきました。
Socket940は名前が示す通りピン数が突然増えています。この増えたピンが何に使われるかといえば主にメモリアクセス用にピンが増えています(他にもCPU間接続の為にも増えています)。なぜこうなったかと言えばノースブリッジを間に入れるとメモリアクセスが遅くなるから(逆にいえばCPUにメモリコントローラを内蔵すると早くなるから)です。
この様にSocket940ではメモリーコントローラがCPUに内蔵されていて、ノースブリッジにはメモリーコントローラが存在しませんので、見掛け上は旧来のマザーボードとそっくりであっても、どちらかのCPUにメモリスロットが直結していて、もう片方のCPUは隣のCPUをノースブリッジとしてメモリにアクセスします。これによりメモリに直結したCPUはレイテンシが短縮された高速アクセス(逆に隣のCPUは旧来同様のレイテンシ)が出来ます。
インテルは、この不均衡なメモリアクセスを嫌い永らくFSBを使ったSMP構成を続けましたが、その結果Opteronの台頭を許してしまった経緯があります。シンメトリに拘り速度を犠牲にしたIntelと、アンシンメトリでも性能向上を重視したAMDという構図が、こういったATXサイズのOpteronマザーに顕著に現れています。

HDAMC (Iwill DK8X)
HDAMC.jpg HDAMC-IO.jpg
HDAMC-BDG.png
この板は、搭載チップが豪勢な半面、設計がダメダメで不評でした。
NUMAの利点を生かす為にはチップセットをCPUに直結すべきですが、この板では反対に数珠繋ぎにして遠大なアクセスレイテンシをわざわざ作り出しています。多くのチップセットをCPU直結にする為には板の積層を増やす必要があり設計&製造コストが嵩みます、逆にチップセットを数珠繋ぎにすると板の積層枚数を減らして設計&製造コストを削減出来ます。つまり、設計と製造コストを削減した結果、カタログスペックと性能の乖離が起きて不評を買ったのだと思います。それに加えAGPの相性問題が多発していました。改めて考えてみますと、この板やHDAMBの設計やBIOSが問題なのか、それともチップセット側が問題なのか判りませんがAMD-8151はAGPの相性が悪いという評価を広めたのは、この板やHDAMBだと思います。

HDAMD (Iwill DK8N)
HDAMD_20150611185134c88.jpg HDAMD-IO_20150611185215de3.jpg
HDAMD-BDG.png
この板は9号機ですが、BIOSのACPIに問題が有りWindowsXP-64BitやWindowsVista以降のOSが入りません。NUMAである以上はACPI2.0aに準拠しなければいけませんが、そこが出来ていません。加えて、nForce3 Pro 250チップセットがこの板にしか採用されず、発売直後に製造元のIwillが消滅し、BIOS更新、チップセットドライバ更新、ともに消滅した残念な板です。

HDAMEX SLI (Iwill DK8EW)
HDAMEX.jpg HDAMEX-IO.jpg
HDAMEX-BDG.png
この板に先行して、オンボードグラフィックを搭載したサーバ用の別バージョンがありI/O構成も少し違います。

Tyan
Thunder K8S / K8S Pro / K8SD Pro
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ThunderK8S-BDG.png
Thunder K8S は HDAMA から一カ月遅れで発売された最初期の940板で構成も非常に似ています。K8S Pro はレイアウト改善により不均衡だったメモリスロットを2本増やしたもの、K8SD Pro はデュアルコア対応版です。SATAコントローラがPromise製とSiliconImage製があり、バリエーションモデルとしては Ultra-320 SCSI を搭載したものがあり、写真は搭載品です。

Tiger K8W (S2875)
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TigerK8W-BDG.png

Thunder K8W (S2885)
ThunderK8W.jpg ThunderK8W-IO.jpg
ThunderK8W-BDG.png

Tiger K8SSA (S3870)
TigerK8SSA.jpg TigerK8SSA-IO.jpg
TigerK8SSA-BDG.png

Thunder K8HM (S3892)
ThunderK8HM.jpg ThunderK8HM-IO.jpg
ThunderK8HM-BDG.png

Tiger K8WE (S2877)
TigerK8WE.jpg TigerK8WE-IO.jpg
TigerK8WE-BDG.png
ATXサイズにこのレイアウトは素晴らしいですね。

Thunder K8SE (S2892)
ThunderK8SE.jpg ThunderK8SE-IO.jpg
ThunderK8SE-BDG.png

Thunder K8WE (S2895)
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ThunderK8WE-BDG.png

SuperMicr
SuperMicroは初期の頃にServerWorksのチップセットを使った板を数種類出していますが、そのシリーズには自作向けと言える物が無い為、割愛致します。
H8DAE
H8DAE.jpg HDAMA-IO.jpg
H8DAE-BDG.png
見た目も中身もI/OパネルもHDAMAとほぼ同一と言えますが、SuperMicroがAMD向けに製造を始めた時期が遅かった為に発売はHDAMAよりもかなり遅れています。この板はデュアルコアCPUの発売に合わせて登場しました。PCI-Expressスロットの様に見える拡張スロットはIPMI専用スロットでリモート管理用の専用ボードにしか使えません。

H8DCE
H8DCE.jpg H8DCE-IO.jpg
H8DCE-BDG.png

H8DCE-HTe
H8DCE-HTe.jpg H8DCE-HTe-IO.jpg
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H8DCi
H8DCi_spec.jpg H8DCi-IO.jpg
H8DCi-BDG.png
この板は11号機として使っています。鉄板です。恐らくSocket940最高峰の板と言えるでしょう。特に相性問題が出た事は無くPCI-X用チップセットも8131から改善されたAMD-8132が使われています。しかしWindows7が終了すると32Bitにダウングレードしないといけない(Win8.1以降の64Bit版動作要件にCPUが対応していない)為、今からLinuxに移行しOpenStack用に鯖マシン化する予定ですが、CPUに搭載された仮想化機能が未熟な為、OpenStack向けにも適さないかもしれません。


GIGABYTE
GA-2CEWH
GA-2CEWH.jpgGA-2CEWH-IO.jpg
GA-2CEWH-BDG.png


MSI
K8D Master-F
K8DMasterF.jpg K8DMasterF-IO.jpg
K8DMasterF-BDG.png
HDAMAに7日先行して日本初販売されたOpteronマザーです。ブロック図がどこにも掲載されていない為、8111がCPU直結なのか、それとも8131経由なのか判りません。

K8N Master2-FAR
K8NMaster2FAR.jpg K8NMaster2FAR-IO.jpg
K8NMaster2FAR-BDG.png
ブロック図には記載していませんが、SLI Switch を non-SLI にしている時は片側がx1で動作するのかもしれません。

K8T Master2-FAR7
K8TMaster2FAR7.jpgK8TMaster2FAR7-IO.jpg
K8TMaster2FAR7-BDG.png
VIAチップセットK8T800Proを搭載したデュアルソケットとしては珍しいマザーです。マニュアルにブロック図が掲載されていない為、ブロック図は想像で書きました。発売当時3万円!の激安マザーです。


他にも各社マザーが有りますが、追々追記してゆきます。


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非公開コメント

No title

10年近く前になりますか、ぷらっとホームの店舗が
まだあったころに、大きな通りの西側に入ったところに
自作WSを扱っているところがありました。

そこの兄ちゃんは、Opteron押しだったのを覚えています。



No title

追加

Opteronと言えば、CPU各々が物理メモリに接続されていると
いうのが普通の見方なんですよね。
ただ、10年以上前の記憶なので定かではないのですが、
940ソケットの初期の頃には物理メモリを共有しているのが
あった気がします。

Re: No title

> 940ソケットの初期の頃には物理メモリを共有しているのが
> あった気がします。

その点は、こちらに詳しく書いてあります。
http://dualsocketworld.blog134.fc2.com/blog-entry-338.html
後半の Node Interleaving がそれに相当すると思います。

あと、ねこあたまさんが好きなATXサイズだと、片側CPUにしかメモリスロットが設置されてないタイプがありました。RioWorks HDAMBなんかがそれに相当します。このタイプで Node Interleaving をしても半分の帯域しかないと思います。

プロフィール

DualSocketTheWorld

Author:DualSocketTheWorld
自作を始めて20台目くらいになりますが、最初からデュアルソケット限定(始めた当時はデュアルスロット)で自作しており、近年になってAMD K6を試したくなりSocket7でK6-2+のシングル構成で組んだのがシングル初です。

シングルマザー(含:シングルソケットマルチコア)や4ソケット以上の自作は基本的にしませんし、メーカー製PCの改造も基本的にはしません(ノートPCのSSD化くらいはしますが・・・)

基本路線はワークステーションと呼ばれる分野での自作で、OSもWindows系であればProfesionalが主な対象に成ります。

ゲーマーの様なOverClockは行わず、WS路線としてハイエンドCPUとハイエンドGPUの組み合わせで定格或いはDownClockで発熱を抑えつつ、その時のアーキテクチャに置いて爆速かつ静音を目指し、30年以上の長期に渡り稼動状態をキープする事を目指します。

※基本的にリンクフリーです。どこでも自由にどうぞ。

※画像は時々変ります。

※お決まりの文章ですが、改造は個人の責任で行ってください。ここに記載された情報は間違いを含んでいる可能性が有り、それを元に製作や改造などをして失敗しても筆者は一切責任持てませんので悪しからず。

筆者略歴:
小学生時代にゴミ捨て場で拾ったジャンクテレビ数台を分解して部品を取り出し真空管アンプを自作、中学生時代にPC8801mkⅡsrでZ80アセンブラを始める。社会人になって初のプログラムは弾道計算、後に医療系・金融系プログラマ~SEを経て100~200人規模プロジェクトのジェネラルマネジャを数年経験、独立して起業。現在は不動産所得で半引退生活。
(人物特定を避ける目的で一部経歴を変更しています)

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